特設勉強部

本校は特設音楽部、特設陸上部、特設水泳部など中学校にような「部活動」があります。小学生が学校でバイオリンを弾いている姿をみれば、全国の多くの教師はビックリすると思います。こうした部活動は市内の学校のほとんどで行われているものです。
 
そんな中、本校では通称「特設勉強部」なるものがございます。正式名称は放課後学習支援といいますが、おそらく全国に誇ることのできる部活動(笑)だと思います。
 
木曜日と金曜日の放課後は図書室に3年生以上の子どもたちが集まってきます。算数が苦手な子どもたちです。しかし、みんな「好き」でやってきます。放課後ですから授業に換算すると7校時目、8校時目となりますが、「もう少しやらせて〜〜〜」とお願いする子どもたちもおります。「放課後残されて勉強させられる」ものとは真逆の姿です。本校が全国に誇れる革新的システムです。
 
この始まりは4年前、協働学習を推し進める教師らで立ち上げました。「放課後の学習支援」は全国でたくさんの学校で推し進めています。しかし、予想されるのはそれほど成果が上がっていないだろうというこです。
私たちには戦略がありました。協働学習をコアとして場を作れば子どもたちの心の負担もなく、学習の質の向上も求めることができるという確信がありました。
 
また、この4年間の取り組みで画期的だったのは、校長と掛け合い、この取り組みを「校務分掌」として取り入れたことです。多くの先生が放課後部活動をしているのと同時に勉強部でも勉強をするのです。仕事として全校の学習支援をシステム化したということです。
 
さらに試行錯誤を経て、この取り組みを最も効果的にするプログラムの開発も行ってきました。結果、教科は算数に絞り込み、そして予習から授業へとつなぐという学習の流れができました。
 
うちのクラスだとクラスの半数以上が参加を希望するくらいです。協働学習をしている子どもたちにはそこに行けばどうなるのか予測できるからです。
 
今日は今年度の初日。始めはガイダンスをする予定でしたが、集まってくる子どもたちはすぐに勝手に勉強を始めています(笑) 協働学習をしている子どもたちは学び方を知っているので、余計なことを言わなくてもどんどん勉強できちゃうのです(でも悔しいから集めて話をさせてもらったんですけどね)
 
この取り組みには「子どもは学校で育てる」という志があります。小学校では学級担任制なので「自分のクラスさえ良ければ」という考え方も浮かんできます。でもそうではなく、学校そのものを子どもたちが力一杯学べる環境にしていこうという志を持った教師でこれを立ち上げ、他の先生方に理解を求め、協力をいただいています。
 
この勉強部で「普段は手を上げられない子が進んで手を上げている」とか「ぼくが教えてあげるよ!」なんて言葉が出ていているとか「テストで100点とれた」なんて話を担任から聞くことができます。
 
 
 
8時間目の勉強が終わって「すごく楽しかった!!」と言って帰って行った子どもたち。これが本校の基盤だと思っています。
 
※この取り組みの様子は「教育総合技術」に放射線教育の取材の「おまけ」としてその様子が写真に載っています。

総合教育技術増刊 震災と学校現場 復興1年の記録 2012年 04月号 [雑誌]

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