「放射線教育は学力です」

先日、長野総合教育センターで放射線教育についての講座を昨年に引き続き持たせていただきました。担当のIさんの対応がとても素晴らしく、僕だったらこんなにきめ細かく動くことができないなと感心させられることばかりでした。こうした機会を設けさせていただいたことをこの場を借りて感謝申し上げます。
 
さて、講座の午後の部では参加された方々に、私からの課題をデータを基に「読み解く」という活動を行いました。
 
1.1mSvを超える内部被曝は何からもたらされているか
2.甲状腺がんの一次検査の結果をどう判断するか
3.子どもたちが放射線量を測定した地点で高いところはどうして高いのか
 
こうした課題を参加者に読み解いてもらいました。参加者は少なかったのですが、文系の方も理系の方もいらっしゃったのでそれぞれに意見を出し合いながら、学び合いで課題を読み解いてもらいました。
 
1の課題については、福島県の食材のデータから「どうも山菜があやしい」という結論にたどり着きました。
 
2の課題については、放射線量の差と子どものA2 B Cの結果データとは関連性がないと言えるという話になりました。

3の課題については、地図から河川によって放射線が高い場所があることなどが導き出されました。
 
このように、放射線教育では「読み解く」という力が求められます。人の言うことを鵜呑みにするのではなくて、あくまで自分の目で見て、はかり、そして判断する能力が大事なのです。そうでないと危険論ばかりに注目して心が不安定になったり、根拠のない安全論で耳をふさいでしまったりすることになるからです。どちらの状況になることも不幸なのです。
 
例えば全国のモニタリングポストのデータの動きを見て、「今放射線の数値が上がったからきっとベントしたに違いないから窓を閉めて」なんてネットで今でも叫んでいる人がいます。雨が降れば放射線量は増えると言うことを知っていれば、少なくとも基となるモニタリングポストのHPにはそう書いてあることを読んでいれば、そんな誤解は生まれないのです。
 
また、福島県産の桃にはヨウ素131が検出された(0.8Bq)けど、県が隠蔽しているなんていう話もあります。こんな話を聞くと頭が痛くなってきます。ちなみに今、自然界でヨウ素131が検出されるとしたら原発の超高濃度の汚染水にごくわずか存在するかどうかです(たぶん存在しないです)
 
根拠はヨウ素131の半減期は8日ほどだからです。今までに100回ほど半減期がきているので、数式では 0.8×2^100となります。2の100乗ですからとてつもない数になります。ですから半減期を考えれば、それはデータの手入力ミスだと簡単に想像できます。
 
このように放射線についてしっかりと学べば変に怖がることもなく、そして根拠なく安心することもなく、しっかりと放射線と向き合って生活していくことができるのです。僕はそうやって放射線と向き合い、生活していますし、子どもたちにもそうして生活していって欲しいと願い、教育を実践しているんです。