放射線教育をどうするべきか?

放射線になんか、まけないぞ!: イラストブック

放射線になんか、まけないぞ!: イラストブック

 
このイラストブックの作成と同時に自分のクラスではどのレベルまでの放射線教育をするべきなのかをずっと試行錯誤してきました。そこで分かったことは小学生でもかなりのレベルまで学習することが可能だということです。
 
ただし、それは「テキスト」と「学び合う学習」がセットになっていなければなりません。
 
うちのクラスでは、外部被ばく、内部被曝放射線の種類、食物連鎖、Svなどについて自分で説明できるレベルにあります。また、なぜ放射線が危険なのかも理解しています。
 
これらは「教える」ことでも確かに「知識」としてねじりこむことはできます。しかし、これらが使える学習になるかというとそうではありません。それらは何なのか子どもの言語のレベルに落とさなければ、言葉だけが上滑りしていくからです。
 
当初の計画ではこのイラストブックに「ワーク」を入れる予定でした。しかし、ページ数やサイズなどの制約もあり、今回はまずは最初に必要なことを出版しようという流れになって今回のイラストブックになりました。この本の反響によっては第2弾として「ワーク」を作成してもよいかと考えています。そのワークとはチームで、理解を深めたり、解決を図ったりすることで考えを深めていくというものです。
 
このイラストブックをもとにして監修の木村真三さんは福島市で「キュリー学園」を開き、子どもたちの放射線教育の充実を図っています。私もできれば大勢の子どもたちがただ怖がるだけでなく、きちんと放射線について学び、考え、行動できるようになって欲しいと考えています。
 
福島県の学校では「放射線教育は文科省のテキストのみを使用」をいう制約があります。まあ、これは変な知識で危険をあおったり、逆に根拠もなく安全だと教育したりすることを防ぐために必要なことと理解はできます。しかし、文科省のテキストは福島県に今生きる子どもたちがどう対応していけばよいかを示すような内容はほとんどありませんし、内部被曝にしても様々な制約があって書けないことでしょう。
 
できれば市町村という単位でこのテキストを使用してもらえたらと思います。
そしてそれは「テキスト」だけでなく、「授業の進め方」そのものもセットにできないかと考えています。
 
これを読んで「よく分かりました」ではなく、「私はこうしていきたい」という学びに深化できるような授業になって欲しい。そのためだったら私も例え県外であっても放射線教育をやってみたいと思っています。