放射線・福島の現状 今分かること、そして分からないこと

放射線についてここまで分かっていること、分からないことについてメモします。
 
まず分かっていることは、現在の福島県で流通している県内産の生産物にはほとんどセシウムは含まれておらず(厳密に言うと検出限界値以下であってごくわずかだけど入っているものもあります)、福島県民の内部被曝量も極めて低いものであると言うことです。また、外部被曝はバッチのデータから推測すると郡山市で多い子どもでも年間1mSvを切っています。ちなみに郡山市のデータ算出は間違っていて、郡山市のような新生代の地層ではバックボーンの数値はもっと低いので、実際に算出されているデータよりは少しだけ高いはずです。
(バックボーンというのはバッチのデータから「事故前もこのくらいはあったので」といって引かれる数値です。郡山市の地層の年代は若いので実際に引かれている数値(日本の平均値)よりはもっと小さいはずです)
 
これらから考えると「普通に」生活する分には被曝は当初考えられていたよりもずっと少ないと言えます。しかし、一方で学校の周りを計測するとセシウムは水によってかなり偏りが生まれています。雨水管の直下だと直下で未だに10μSvなんて所はざらにありますので、そうした場所には近づかない、すぐに除染するなど対策が必要です。また、山菜などでは今年になっても最大値で1万ベクレルを超える(コシアブラなど)ようなものもあります。一度それを食べたからどうにかなるとは言えませんが、常食すべきものではなく、ましてや子どもにそれを食べさせるのはダメです。
 
一方、分からないことがあります。ヨウ素被曝とその影響です。「放射線になんか、まけないぞ!」の監修にあたってくださった木村真三さんは、データの解析ですでに原発事故で甲状腺がんが発生していることを確信して、世界に発信するための論文の制作にあったいるようです。木村さんの緻密なデータの蓄積と分析力ですから、ほぼそれは間違いないのでしょう。
  
僕も県のデータを総ざらいしていますが、最も大切なB判定C判定の発生地域が伏せられているので判断しかねています。県の担当者に直接聞いた限りには「発生地域との相関関係はありません」と申しておりました。これはまもなく出るであろう会津との相関関係ではっきりするはずですが、そのデータを出してくるかどうかは分かりません。また単純に地域だけではなくて、3月15日から3月末までどこでどんなことをしていたのか、そうした実態調査の結果も必要です。これらが揃って初めて判断ができるのです。
 
気がかりなのは通常、甲状腺がんは男女比で言うと女性の方が明確に高いのですが、これまでの調査でがんが確定した男女比はほぼ1:1です。これが何を表すのかが分かりません。(またがん発生の年齢分布は幼児にはほぼおらず比較的年齢の高い子で判定させているので、被曝の等価線量の考え方で行けば原発事故の影響ではないかとも考えられます) 以前に仮説を立てたように、そもそも甲状腺がんというものが、どこの国でもこれまで考えられていたよりもずっと高い比率発生しているのか、それとも今回の被曝で子どもの甲状腺に何かが起こっているのか分かりません。
 
これらは新聞などで報道されていることが全てだと思わずに、実際の数値に我々市民の手で確かめていく必要があるかもしれません。