心では対応してはいけない

何か物事に対処しようとするときに、人は心で対処しようとします。でもその多くの場合うまくいきません。
 
「僕がこんなに心配しているのに」
「あなたのことをこんなに考えているのに」
「どうして分かってくれないの?」
 
こうして心がどんどん消費されていきます。しかし、心は一度消費されるとなかなか回復しません。
 
「どうせ言っても無理」
「分かんないなら放っておくしかない」
「馬鹿(子ども)だから仕方がない」
「今は我慢」
 
そんな落としどころを見付けて自分の「納得」をつくることになります。こうしたことは教育の現場でも多く見られることですよね。
 
そもそも、自分の考えを分かってもらえるなんて思うこと自体が間違っているのではないでしょうか。ドラマのように「熱っぽく、涙を流しながら、大声で訴えれば、相手にはきっと通じるはず」と思う人が多いかも知れません。しかし、兄弟でさえ、さらには親子でさえ、何でも分かり合うなんてことはないのですから、他人である相手が分かってくれる方が奇跡です。
 
物事への対処は、心ではなく頭でするものです。先に書いたように心はネガティブな方向に消費されると回復するのに多くの時間を要します。また体にもその影響はでてきます。
 
一方、頭で対処する、つまり「知恵を絞る」のはそれが例えうまくいかなくても回復ははやいのです。ですから1案でだめなら2案で、それでもだめなら3案で、というように次を生み出しやすくなります。
 
僕も昔は心を消費するタイプでしたが、今では頭を消費することで疲労することも少なくなり、何よりも物事に対処するスピードは何倍も速くなりました。
 
「何かを変化させたいときには、心で訴えるのではなく知恵を絞ってアイディアを出し続けることが大事なのよ。」
そんな話を以前担任したある子どもたちにアドバイスしました。