放射性ヨウ素では甲状腺がんはほとんど起こらないのかもしれない

素人のかなり大胆な仮説ですので、指摘がありましたら感情ではなく「データに基づいて」ご指摘ください。
 
 
昨日の長野の放射線教育の講座を持たせていただいたのですが、その中に参加者に課題を出して「データ」をもとにして、それを基に正確に読み解き判断するという演習を組み込みました。
 
その演習の2つめの課題として「福島県甲状腺がんのデータ」を読み解きました。演習をやっている中で、自分で整理されていなかったごちゃごちゃしたものが一本の線になってつながってきました。ひょっとするとチェルノブイリ原発事故で発生したと言われる「甲状腺がん」。これの読み解き方は間違っているのかもしれません。下手するとチェルノブイリ原発事故で起こったと言われる甲状腺がんの多くは(全てとはもうしませんが)、放射線の影響じゃない可能性が高いのではないかと思うようになりました。この根拠を示します。
 
まず、このデータを読み解きます。
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/250605siryou2.pdf
これまでの甲状腺がんのデータから現在の時点でほぼがんと診断された18歳以下の子どもが「28人」に及ぶことが分かります。現在13人が手術し、12人が実際にがんとして認定されています。このデータにはいわき市会津がほんど含まれていないのでがんの疑いは、最終的には40名近くになるはずです。これは冬頃には発表されると思います。マスメディアはかなりセンセーショナルに伝えることでしょう。「福島県で子どものがん40名発生」なんて見出しで。
 
ところがこのデータを詳細に読んでいくと、地域間にに差がないことが分かります。どこでもA2、B判定が「一定」の割合で線量や原発からの距離に特に関連性はみられません。また、弘前市甲府市長崎市のデータと比較しても変わりありません。超音波の性能や検査技師の判断という誤差の範囲であることでしょう。
 
このデータ、実はチェルノブイリ原発事故よりもずっと高いんです。ここから何が予想されるでしょうか?
 
チェルノブイリ原発事故で明確に甲状腺がんが増えたと言われるのが5年ほどしてからだと言われています。でも本当にそうでしょうか。事故直後に福島県のように大規模に甲状腺検査をしたという話は聞いたことがありませんし、そもそも甲状腺がんが増えるというのはチェルノブイリ原発事故で「分かった」と言われていることです。ですから事故後の数年間はほとんど子どもの甲状腺に超音波検査はされていなかったはずです。
 
チェルノブイリ事故で甲状腺がんが見つかったことで、大規模に甲状腺検査が始まったのはおそらく数年後つまり、5年ほどして「がんが増えた」というデータと一致してきます。
 
福島県のデータと重ねてきます。ひょっとするとチェルノブイリでも原発事故とは関係無しに、甲状腺がん福島県と同じ「一定数」存在していたのではないか、それが大規模に調査をかけたことであぶり出されたのではないかという予測が生まれます。
 
福島県内や他県で地域に関係なく、これだけがんの認定が起こるのですから、事故発生前にもベラルーシウクライナ、ロシアでもある一定のがんがあったはずです。データを比較するとチェルノブイリで発生したと言われる多くのがんは実は「もともと」あったものだと推測されます。「今でも甲状腺がんが発生している」と言われるのはこのためかもしれません。
 
それでもチェルノブイリでは高濃度の汚染地帯の方が甲状腺がんのデータが有意義に高いので、等価線量で1Svを超えたような被曝をした子どもががんを発症したと言えます。
 
福島県の子どものがんの発見率が高いのは、機器がチェルノブイリ事故のころから比べてずっと高性能になっているのと、検査技師の診断技術の差だと考えています。
 
福島県のデータを全国に広げると甲状腺がんを発症している18歳以下の子どもは実は2000人を超えるはずです。従来100万人に1程度と言われてきたのは、これほど大規模に甲状腺を検査してこなかったからです。
 
すると、甲状腺がんの多くは数十年かけてゆっくりと育つもので、ひょっとすると子どもには手術もいらないようなものなのかもしれません。
 
 
このような大胆な仮説を立ててみました。チェルノブイリには実際に行っていませんし、生のデータもありませんのでその部分に関してはあくまで「推論」です。でも福島県のデータは、放射線についても、がんという病気に関しての特性についても新たな理解の扉を開くのかも知れません。