時間的貧困

世の中は「アベノミクス」ですが、私たち教師からみると児童生徒の貧困化は進んでいるように感じます。経済的な貧困は分かりやすいのですが、私は「時間的貧困」もかなり影響が大きいと考えています。
 
市内のどこの学校でも、放課後の児童クラブの定員がいっぱいです。簡単に言うと両親が共稼ぎのために子どもが学校、または周辺の施設で預かってもらうのです。これが近年、施設の増加が追いつかないほど定希望者が多くなってきます。
 
最近では「専業主婦」という言葉は死語になりつつあります。ほとんどの家庭では両親が働くことで、家庭経済が成り立っているのです。しかし、お金とトレドオフとして時間が削られていきます。子どもとの時間が。
 
もちろん、両親が働かないと住宅ローンだの、教育費だので家庭の経済が回らないところがほとんどのことでしょう。でも中には、高級車維持や子どもの携帯代ために両親が働くなんてこともあります。
 
また場合によっては、時給700円を得るために、乳児を保育園に預けて働く人もおります。そのために保育園にはその700円を上回る税金が投じられるなんてこともあります。
 
そして最も懸念されるのは、そうした時間的な余裕の無さが生み出す、子どもや学校との関係の希薄さです。例えば授業参観でも授業の時間だけは参観して、その後また仕事に戻るなんこともあります。
 
学校というものは、教職員が創り出すものではなく、子ども、保護者、教職員、そして地域が「作り出すもの」なのです。時間的な余裕がないと「学校におまかせ!」になってしまい、一緒に教育を創るという最も大切な部分が削り取られていきます。(もちろん、これは我々教師も都合のいいときだけ保護者に手伝ってもらって、他は口出しさせないというあり方をかえていかなければならないのだけれども)
 
ここ20年を観ていて、どんどん保護者に時間的な余裕がなくなってkていることが見えてきます。これにはお金だけではなく、子育てのための休暇制度の充実や場合によっては強制的に取得させることも必要なのかもしれません。