子どもを大人にさせない社会

学校の役割は子どもを大人にすることです。
 
小学校3年生の社会科の学習では地域の学習を行います。まずは学校の周りの様子を探検していろいろなものを探して地図上に表していきます。その中でも子どもの目印になるものはやはり「お店」や「公共機関」です。しかし、これらの学習には年々非常にやっかいな存在となってきています。
 
本来は子どもが地域を探検する中で「自ら」地域のことを調べていく活動をしていきます。しかし、中には突然子どもが訪れることを嫌がる所もあります。
ある全国展開する大手衣料店からはあからさまに「他のお客様にご迷惑になりますのでお断りします」と言われたこともあります。またある場所では、来店する全ての子どもの名前をリストして提出して欲しいとか、あらかじめ質問する内容をファックスで送って欲しいとか、そんな要求をされることもあります。
 
そうなると非常に準備が煩雑になりますし、何よりも全て「やらせ」の学習になってしまいます。子どもがちょいと寄って5分ほど質問することが面倒だと感じているのです。ここに子どもを地域で育てるという理念はありません。
 
一方で地元商店の方々は非常に喜んで対応してくださいます。子どもに丁寧にお店や仕事を教えてくれたり、時にはおやつまでくださったりします。こうした地元の方々は、子どもたちも大切にしてくださいます。こうした関わり方が子どもへの関わり方のモデルとなり、子どもの関わり方を成長させてくれます。
 
上記のように全国展開するようなお店はもう少し経営戦略を学んだ方がいい。子どもは将来の顧客です。ですからその子どもを大事にしないということは長期的な経営戦略を考えていないという証拠です。そうした企業はいずれ淘汰されていきます。僕なんかは正直に「○○では他のお客さんに迷惑だって断られたよ」って子どもに教えてあげます(笑)
 
もちろん、子どものあいさつや学び方が酷いなんて学校もあるでしょうから私たち教師もそうした礼儀作法はしっかりと教えていかなくてはいけないのですけどね。
 
ある学校で実践したときには「子どもの学び方がとてもよかった」と地元の商店街の方が校長へわざわざお電話をくださったこともあります。そうしたことを子どもたちに伝えるとで子どもたちが一つ成長するのです。