鍛錬

宮本武蔵五輪の書「千里の道もひと足宛(ずつ)はこぶなり。 千日の稽古をもって鍛とし、万日の稽古をもって錬とす」
 
友人の高橋尚幸さんがよく言います。「あれこれやっちゃダメで、まずは自分でこれと決めたことをやり抜くことが大事」と。私もその通りだと思います。私を見ている人は「よく自由自在にやっているな〜」とか「やけに高飛車なことを言うな〜」とか「自信過剰なんじゃないの?」とかいろいろと思われているかと思います。
 
でも私は学び合い型の授業をやり始めて14年目です。そのちょいと昔の特別活動ベースの授業を合わせるならば16年目です。小学校は年間約1000時間の授業をしますので、その理念に沿った授業を少なくとも1万5000時間はこなしていると言うことになります。
 
僕が型をなくして、状況に合わせて授業が出来るようになったのは1万時間くらいからです。それも同僚とかなりの時間を議論しながら、実践を見せ合いながらです。これはまさに鍛錬で、金槌を一振りするごとに叩き方を確かめながら、毎日毎日繰り返して行くことで得られるものです。1万5000時間もやればその神髄が見えてきます。だから細かな微調整はあっても大きな部分では揺らぎません。
 
でもそんなことを言うと、若い先生には「10年後なんて想像つかないよ〜」って思うかもしれませんよね。でも10年前に自分が今の姿を想像していたわけではありません。学び合うということをただただ極めたくて、子どもが学ぶって何だろう?って考えてたくてここまできたという感じです。ですからそんな遠くの未来を見る必要はありません。でも毎日、そして一振り(毎時)ごとの軌道修正や反省(よかったことも、だめだったことも)を地味にしていくことでしか、教育は積み上がらないのです。
 
ですから、尚幸さんの言うように「自分はこれだ」と思うものを毎日、毎時間積み重ねていくことを大事にすることが大事です。
 

えっ? これからは2万時間をめざすのかって? いやいや、毎日刀を振って遊んでいるただのおっちゃんです。