発達障害

以前にも書きましたが私の甥っ子は「アスペルガー症候群」です。
それがはっきりしたのは小学生の頃です。私は何度も姉にその診断を
早めにとって対応策を考えた方がよいと伝えたのですが、なかなかそれを認めるのは難しかったようです。当然学校内でのトラブルは続発します。
それでも小学校では先生方が温かく対応してくださったおかげでトラブりながらもなんとかし乗り越えてきました。しかし中学校ではいじめの対象になることもあったようです。今は高校生になり大学受験を目指して勉強をがんばり始めたようです。
 
発達障害ADHD自閉症も育て方が悪いわけではなく、単に脳の機能障害です。ある特定の部分の血流量や活動が低下または増幅していると言われていますが、まだはっきりとしたことは分かりません。ADHDは大人になるにつれてその症状が軽くなっていく人もいます。また男女でもその特性は大きく異なると言われています。特に女の子のADHDは見過ごされることが多いと言われます。(女の子はよく「不思議ちゃん」なんて言われることがあります)
 
またアスペルガー症候群を含む、自閉症は通常は「直らない」と言われています。ですから保護者にとっては自分の人生観に影響するほど大変な問題になってきます。ただ本質は変わらなくても大人になるまでに教育の力でその後の生き方は多く変わると思います。
 
こうした発達障害の子どもはクラスの子どもたちとトラブルになる頻度が圧倒的に高くなります。学び合い型の授業でも「勝手にやっちゃう」「ちゃんとやってくれない」ということから始まって、時には暴力をふるったり、教室の隅っこに隠れてしまったりします。
 
早い診断が付けばその対応策は見えてきます。ADHDでは薬もありますし(ただこれは飲まない方がよいといい人もいます。私には判断できませんが)、自閉症の子どもでしたら空間や時間の取り方変えて行くだけでかなり改善すると言われています。
 
小学校ではこうした診断をとるということにとても消極的です。なぜなら保護者とトラブルからです。実際に私も「医者でもないのに!」と言われたことがあります。でも我々はある意味医者よりも判断能力は高いのです。なぜならこれまで数百人の子どもたちを担任してしてきていますし、学校で言えば、数千人レベルの子どもを見てきています。ですから突出した行動をとる子どもの様子をしばらく見ていくとだいたい見えてきます。ただ、昨日の学習障害と同じように、その特性やレベルは一人一人違うものです。とこで線を引くかはとても難しい判断が必要です。
 
私の甥っ子だと、大きな音が嫌でよく耳をふさいでいましたし、学校のテストでは勉強しないのに高い得点をとっていました。運動は苦手、リズム感がない、目線があまり合わない、自分の話だけ一方的にすることがある、理科社会は得意だけど、国語が苦手。あげればきりがありませんが、条件の全てが当てはまるほどです。
 
しかし、上記のように視覚優位だから教科を丸ごと覚えるなんてことも得意なんです。映画「ものすごくうるさくて ものすごくちかい」はアスペルガーの子どもと3.11で失った父、そしていつも見守ってくれている母との心のつながりを描いたものです。映画の子どももその特性で、資料の整理や分析がずば抜けています。父はその子のよさを生かそうと、いろいろと息子にチャレンジさせていきます。
 
このように発達障害はダメなことばかりではありません。へこんでいる領域があるからこそ他の部分で突き抜けた能力が発揮できるのですから。
だから私も甥っ子を悲観してはいません。彼が自分の力を発揮し続けられるような仕事につけることを願っています。
 
とはいえ、姉を見ていると一人で抱え込むのは相当大変なことだと分かります。ですからそうした子どもたちを持つ保護者のネットワークがもっともっとできてくることが必要なのです。まだまだ日本は遅れているのだと思います。