授業を観る力

以前お勤めした学校で授業研究会(事後検討会)があると非常に緊張したものです。えっ? そんなの当然? いえいえ、自分の授業じゃない同僚の授業の研究会でです。
 
というのも、私を含めて若造(それでも30過ぎなんですけどね)どもが教頭に呼ばれて「今日の事後研究会でどんなこと言うか楽しみにしているね!」って軽くプレッシャーをかけられます。また、大学の教授も含めて多くの人が集まります。そんなところでトンチンカンなことを言えば、恥ずかしい限りなのです。ですから、自分の授業じゃない方がずっと緊張感がありました。
 
だからこそ、誰が何を見ているのかをずっと観察してきました。その中でも一番参考になったのはやはり佐藤学さんです。佐藤学さんは何を見ていて何を語るのか力のなかった私はずっと注目していました。そうやって参観してきた授業数は数百です。私は人とは全く違うところを観ます。でもやはり同じように授業を観る先生もいて「ある瞬間」にその先生と目線が合ってニヤリとすることがあります。
 
知り合いの若い先生がいると授業の見方をたまに教えます。もと同僚の古田さんにもその見方を教えてきましたし、彼と2年間で相当量見合っていますので、彼もまたそうした力をいち早く身につけてきました。
 
その目線で観られると授業ってごまかしが効きません。大学の先生がよくトンチンカンなことをおっしゃられることがあるのですが、その様子を見ていると「観ていない」のですから当然で、授業で何が起こって何が問題になっているかなんて分からないのです。そうなると自分の領域に話を持って行ってもにゃもにゃして、おしまいになってしまいます。
 
私は幸いにしてそうしたチャンスや環境も恵まれたこともあって(もちろんものすごく苦労したことは言うまでもありませんが)、授業の流れを把握できるようになったのですが、通常の学校で年間に何十回も同僚の授業を見ることは難しいですし、そうした研究校であっても授業の見方を研究してきた人や見方を指導されてきた人はごく少数だと思います。
 
じゃあどうすればよいのかというと、私は力のある人と一緒に授業を観ることしか方法はないと思います。その人が何を見て、何を感じ、何を語るのかを一緒の目線で観るということです。そのためには身近にそうした人がいるかが大事になってきます。
 
「私にはいない!」 
 
そう嘆く必要はありません。学ぼうとする限り必ずそうした人は身近によってくるものです(本当は自分が近寄っていっているのだけどね)そうした人と一緒に学ぶことが教師の力を上げていく大事な要素となっていくと思います。このブログを読んでいるということはもっと自分の力を高めたいという思いからですよね。でも方法だけじゃなくてこうした下地をきちんと作っていくことってすごく大事だし、こうしたことには時間もかかるものなのです。
 
私は20代、30代はがむしゃらに学べばよいと思います。でも誰と学ぶかがとても大事なことなんです。若い先生は自分の師と言えるような方をどうぞ見つけてください。