放射線の影響を考えるということ

初めに言いますが私は楽観論も悲観論も大嫌いです。
  
まずは楽観論、いわゆる「放射脳」って馬鹿にしている人たちです。大抵県外の人、または県内でも子どものいない人が大多数でしょう。ちょっと数字で考えてみます。こんな記事。
 
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2012/07/20/fukushima-watch-study-suggests-up-to-1300-could-die-from-radiation-effects/
 
100倍もの開きがあるのはどうかと思うけど「将来、最小値の20人程度がガンに罹患する可能性」を考えてみます。
親にとっては、子どもは宝です。特に母はお腹を痛めて生んだのですからなおさらでしょう。その子どもを守るために生後まもなく予防接種が行われます。ポリオ・三種混合・BCGなど、さらに任意でヒブや肺炎球菌など補助金なしでは経済的な負担がかなり大きいものまで行います。
 
そのうち、ポリオなどは生ワクチンでごくまれに予防接種したことで、ポリオを罹患して障害が残ってしまう子どもがおります。その確率は100万人に2〜3人程度と言われます。確率からすると普通には絶対に当たらない確率です。でも親はどうでしょう? その生ワクチンではなく不活性ワクチンを打つことを求めます。普通ならば「無料」原価も数十円のものをわざわざ数千円×2回?払ってでも打とうとします。
 
うちも先日、ロタウイルスのワクチンを打ちました(その後いろいろとありましたがその話はいずれ) 一本1万円以上です。でもロタにやられて死んじゃうのはごくごく少ない子どもです。それでも予防接種をします。それが親なのです。
 
福島県の乳幼児はおよそ20万人程度。もしその中から今回の放射線から数名程度ガンに罹患する可能性があるとなればどうでしょう? 上記の確率と同等か高い数字です。親は全力で守ろうとするに決まっているのです。そうした親に「大丈夫です!」と本当に言うべきでしょうか? 言うべきは「そうした可能性はあることを認識すること」と「そのリスクは放射線や環境について理解することで減らせる」ということです。
 
また、逆に悲観論者も大嫌いです。変にあおって不安にさせることのリスクはかなり大きいのです。県外に避難してもその不安に襲われて、かえって体を悪くする人もいます。中には鼻血がとまらなくなっているとか数年後には何百人もの子どもが甲状腺がんになってしまうとか、どうしようもない話を拡散しています。私にはそんな話をして喜んでいるとしか思えません。
 
もはや、福島県は世界で最も放射線について情報の集まるところです。ローカルの新聞社は毎日何面も割いて放射線の状況・影響などを掲載していますし、書店では最近まで原発放射線がらみの本が大量に平積みされています。だんだん福島県の人々は知識レベルが高まってきていて、へんちくりんな情報では驚かなくなってきています。
 
 
 
それでも、子どもたちはそこから取り残されているのも事実です。放射線教育も始まっていますが、子どもベースの授業をどれだけ行えるかが大事なのです。お祭りのような授業では子どもたちには未来を向く力は生まれません。
 
ということで、11月になりますが市内の養護教諭の先生方を対象に本校で授業をする計画が進んでいます。自分のクラスの子どもを使うことになりましたので、全力の授業と子どもたちを見せていきたいと思います。