放射脳?

最近よく「放射脳」という言葉を目にします。これは放射線を過度に怖がって馬鹿なことを言っていたり、他者を非難したりしている人のことを表します。こうしたことをいうのはいわゆる「専門家」とおっしゃる人です。とても不愉快に感じます。
 
私もたくさんの批判をいただきました。「教師のくせに避難しろと言わなアホ」だとか逆に放射線の「専門家」という人からは「よく知りもしない馬鹿教師」とか。
 
そういう人はたいてい「県外」の人です。基本的に自分には何の問題もない状態にいながら、相手を批判すること自分を成り立たせているタイプの人です。そういうアホは放っといてもよいのですが、私が心配すりのは県内から県外に避難した方々で、そういう人は福島県内のように多くの情報が届かないことから、多くの不安を抱えていることになります。
 
自称「専門家」の人々はそうした人も丸ごと「放射脳」といって馬鹿にします。そうでしょうか? そもそも「専門家」なんているのでしょうか?私が知る限り専門家なんておりません。本の監修を受けてくださった木村真三さんでさえ「分からないことがたくさんあるから綿密に調査していかなければならない」とおっしゃります。放射線の物理的性質や海外の論文を読みかじりした程度で「専門家」として何が分かると言えるでしょうか? 分かるはずがないのです。
 
子どもを持つ親は、事故前でも子どもの健康のために「有機野菜」を積極的に買ったり、生まれたばかりであればほ乳瓶も滅菌消毒してミルクを与えているのです。自分の子どもの危険リスクを少しでも低くしたいというのは母親の切実な願いです。それは「確率」の問題ではないのです。
 
確率の問題で片付けるのなら、ポリオの生ワクチンでも十分です。だって発症率は100万分の2〜3程度なのですから。でも多くの人はそれだけ低い確率さえ、自分の子どもには高いお金を出してでも抑えたいという願いがあります。
 
それを馬鹿にして「放射脳」なんて馬鹿にする風潮は非常に腹立たしく思います。おそらく幼い子どもがいる方ならばそんなことは言わないことでしょう。「安心」と「安全」は違うのですから。
 
大事なのはそうした人に現在の福島県内のように多くの情報を届けることであり、リスクと向き合う力を付けてもらうことです。私はそのためにも本を書きました。一人一人がいろんなアプローチをしていくことで、大きな不安を抱える人にも安心を与えていけたらと思います。
 
追記
もう一つ許せない人間は、先天性異常をあたかも放射線障害のようにネットで拡散して不安をあおっている輩です。ちょいと知識があれば分かるのだけど、そうした知識のない人には怖くて仕方がないことでしょう。悪意を持ってそうしいる人がいることに腹立たしく思います。