ステップ2って何?

何度か書いてきたのでステップ2については「何となく」分かっている人も多いと思います。何をどのようにやっているのか詳しく書きます。
 
そもそも授業ではどの子も同じ課題、同じめあて、同じスピードで学ぶ必要があるでしょうか?
 
そこから生まれたのが学習の進度の完全解放です。つまり、教科書レベルならどんどん先に進めば良いということです。
 
「そんなむちゃな!」そう思われて当然だと思います。授業は「算数始めるよ〜」で今日何を学ぶのかさえ、言わないで算数の学習が始まり、時間になったら終わります。
 
そうすると、多くの人は「遊んじゃわないの?」とまず疑問に思われるでしょうね。でも学ぶことは何か? なぜ学ぶのか? 何が目的なのかが分かってきた子どもたちはどんどん学び始めます。 さらに学ぶための手段が自分に降りてくるのですから、学力の低い子どもも安心して分かるよう学び始めてきます。
 
ただ気をつけるべき点がいくつかあります。これをルーズにすると本当にひどい授業になってしまいます。
 
1.教師は忙しい
 授業では私は子どもの言葉にずっと耳を傾けます。そして子どもの状況の把握に努めます。そして、子どもにはどんどん「突っ込み」を入れていきます。例えば東京書籍だと3年生では今「時間」の学習をしていることでしょう。教科書の図を見て答えを求めることは数えれば良いのですからとてもハードルは低いものです。だから数えて答えを出している子どもたちの集団に、「じゃあ今度は計算で求めてごらん!」と言います。すると一斉に頭を抱えて悩みます。このように子どもの学習の浅い深いも読み取りながら、突っ込みを入れていきます。パソコンで言うならばセキュリティーホールを見つけて「パッチ」を当てる作業です。あまりにその穴が大きいときには全員の進行を止めて、全員で課題(穴)に取り組むこともします。だから教師は忙しいのです。ただし、その忙しさは「おもしろい」忙しさなのです。
 
2.予習とセット
 学力の高い子どもは予想通り3倍速で勉強していきます。その一方で学力の低い子どもは、2倍時間をかけて進むこともあります。つまり時間が足りなくなります。だから、通常の多くの授業でも同じで下位の子どもは「分かった」ことにして、先に進むことになります。その時間の問題を解決するのが「予習」です。とはいっても学力が下位の子どもが予習をやって答えが出せるならそもそも下位じゃないですよね。予習は「できなくてもいい」んです。つまり答えが間違っていようと、ちんぷんかんぷんであろうと。 でも授業になれば何が分からないか分かっていることから授業が始まるのですから、授業はスピードアップします。本校ではさらに放課後塾を下位の子どもために開きそれを促進させています。
 
3.保護者に十分な説明を
 こんな当たり前じゃない授業は、保護者にも同僚にも管理職にも理解されないのが当然です。ですからきちんと説明する必要があります。しかし、見通しもないままそれを実践するのは危険です。
 ですから、まずは同単元の中で解放して実践してみてから、問題点を洗い出し、これをフィードバックできる状況ができてから本格的にスタートしていくことが大事です。そして、そうした実践が子どもたちのために大事であることをきちんと説明できる力が必要です。
 
4.そして学力を上げること
 ステップ2をこの3年間続けてきて成績は極めて高いと言えます。何が学力かという議論はあります。私も考える力、実際の生活の中で使える力が大事だと思います。でもだからといってNRTのような標準テストの成績が低くてよいものではありません。テストの成績「も」良い子どもたちに育てていくことが求められます。だから1のようなしっかりとした授業者の看取りと教材研究が必要なのです。
 
 
 
こんなに大変なことをやるのは「見返りが大きい」からです。すでにうちのクラスでは「上」のドリルを数名が終えています。もちろん、それで分かったことにはなりません。でもそのドリルに丸を付けながら、どんなところに引っかかり、どんな内容を振り返る必要があるのかを考えながら丸をつけるのです。