郡山市の放射線の現状

1年が経過して、放射性物質の状況がいろいろと見えてきています。
 
まずは、郡山市ではプルトニウムストロンチウムはこれまでの量から考えて、ほぼ無視できる量しかありません。他にも様々な放射性物質が飛んできているのですが、その性質や半減期からすると同様に無視できると考えてよいと思います。ですからこれから考えていく必要があるのは、セシウムだと考えてよいと思います。
 
1.放射線量はどうなっているの?
毎日発表される計測値を見ていると、セシウム134の半減期に合わせて低下していることが分かると思います。セシウム134は半減期が2年なのでどんどん放射線を放ってより安定的な別の物質へと変化していきます。一方137に関しては半減期が30年ほどあるので、これからもずっと身の回りで放射線を放ちますが全体的にはおそらく2〜3年でかなり低下すると見ています。
 
2.セシウムはどこに?
実はこれからは水での除染はそれほど効果が上がりません。たとえば雨樋とか、ビルの屋上とかなどは「澱」がたまっていて水洗いすることで、局所的に低下することは考えられますが、「面」としてはこれまでの大雨や台風などで流れるものは、もう流れてしまっています。じゃあ、どこにあるのかというと、コンクリートアスファルト、そして土です。コンクリートアスファルトには化学的に結合していると思われます。ですから水洗いしても落ちません。自分で計ってみて特に浸透性アスファルト(水がしみこむタイプのアスファルトね)はとても放射線の値が高いです。これを知っている人は少ないと思います。コンクリートアスファルトの表面を削ればかなり低下しますが、同時に粉じんも舞い上がりますので、粉じん対策ができない限りはやらない方がよいと思います。
また、土はすべてにまんべんなく張り付いている訳ではありません。土の中の泥です。つまり粘土質の泥です。水たまりなどが乾くと粘土が表面に浮き出てきますよね。「あれ」です。あれに8割ちかくのセシウムがこびりついています。ということは・・・
 
3.流動するセシウム
そうです。市街地では泥ですから雨が降るたびに泥が流れていきます。より低い場所へ、そして水のたまりやすい場所へと移動しているのです。郡山市は駅に向かって西から東へと傾斜がありますので、西側で浮いてきている泥が流れ込んできます。大雨が降るたびに低地は放射線が高くなるはずです。
 
4.ならば対策は見えるじゃん!
ですから市街地の除染は実は簡単です。側溝を年間2回ほど「さらう」(線量がすごく高いので専門的な装備があった人がやるべき)、池の底の泥をさらう(大雨でその泥が他に流れ込まないように) 郡山市はその歴史的な背景から、市内に灌漑用の大きな池があります。そこには相当量の泥が流れ込んでいるはずです。その泥(水を抜いた表土)を何度か集中的にさらうことで効率よく除染できるはずです。
 
5.あとは
個人的には街路樹がきになります。大きな木はたいしたことがなくても、ツツジなど葉っぱの細かい低木のものは、実測した限りとても高いです。線量計を近づけると1μを超えるようなところはざらにあります。あれも線量をよく計って本当は抜いちゃった方がよいのではないかと思います。
 
6.ともあれ
これから必要なのは、放射線の詳細マップです。私は地質学専攻で地質図を作成することが卒論でした。その経験を生かすのなら10mメッシュ(これは道路でもいいんだけど)で計測して、面状に数値を記載し、どのようにセシウムが淀んでいるかを明らかに、または予測して、除染の効率をあげると良いと思います。「分かること」でこれからの生活の危険性も減らすことができるでしょう。