上位の子どもは倒れるくらいに突き進め

私のクラスでは「教えなさい」という言葉はめったに出てきません。
けれども「自分のこともちゃんとできていないのに教えるな」とはしつこく言います。
 
これは自分に置き換えれば分かると思います。今自分がこなしたいと思っている仕事を抱えていて、それを校長から「とんたんさん、隣の先生が仕事で困っているからちゃんと教えてあげてね。」と言われたとします。言われた最初のうちは「ああ、校長先生も自分の力を認めてくれているんだな。よしいっちょ頑張るか!」となります。
 
その翌日。「とんたんさん、下の学年の先生に授業の仕方を教えてあげて。」 まあ、「みんなのためにいっちょがんばります!」
 
その翌翌日。「とんたんさん」
 
その翌翌翌日。「とんたんさん」
 
その……「とんたんさん。どうしてちゃんと教えてあげないの?とんたん先生は学校みんなのために仕事をすべきじゃないの?」
 
  
「私は自分の仕事をしてはいけないんですか?」
 
 
 
これが「教えなさい」「みんなができるまで終わりません」という授業の構造です。それで喜んでいる子どもは「みんなができる」ことではなくて、「みんなができるという教師の課題」をクリアして喜んでいるにすぎません。こんな単純な授業のモデルは必ず上位の子どもが上記のように崩壊し、反発します。これで学級を壊した人はたくさんいるはずです。
 
厳しい言い方をすれば「学び合い」をやったことによってクラスを崩壊させ、子どもをひどい状況に落とし込んでいる先生もいるということです。そういう私も見えにくいところでこれを引き起こしました。その当時も「教えなさい」とは言っていなかったのですが、上位の子どもに教えてほしいという子どもが殺到していたのをよしとしていました。上位の子どもには悪いことをしたなと思います。
 
子どもたちに対策を練らせたことでこの突破口は開きました。おそらく教師側からでは分からなかったことでしょう。子どものアドバイスで「学び合い」はいつでも、どんな教科でも持続できる授業となり、同時に学力も上がってきました。
 
その突破口とは・・・