課題の後出しじゃんけん

「学び合い」でも「課題設定が難しい」とか「どんな課題を出せば学び合いになるのか分からない」という話を聞きます。私は課題で悩むことはありませんし、課題がぶれることはありません。なぜなら課題は後出しじゃんけんをしているからです。分かれば、実践すれば「なんだこんな簡単なことだったのか!」と目から鱗がおちると思います。
 
そもそも、よい課題設定で子どもを全てコントロールしようとすること自体間違っています。例えば、昨日の「学び合い」の会。「学び合い」の授業がうまくなりたいという思いで多くの方が集まってきています。しかし、集まる方は千差万別です。経験も、学校種別も、教科も。その人を、練りに練り上げた課題設定で動かすことで「どの人も」目的を達成できるでしょうか?
 
例えば、学びの共同体のような授業では、鵜飼いの鵜のようにひもで子どもの思考を微妙に(うまい人ほどそれは見えにくいのだけど)コントロールして、課題のブレを防いでいます。
 
「学び合い」だと、始まってすぐに「はいどうぞ!」となりますから、多くの人が「課題設定が難しい」と感じるのだと思います。
 
私の授業を観たことがある人は分かると思いますが、授業序盤〜中盤に子どもを私の周りに集める姿を見たことがあると思います。あれは子どもの状況(子どもの言葉・動き・雰囲気・つながり)を観ながら、軌道修正をかけているのです。これは普段の授業ではやらない(集めない)のですが観に来た人に分かりやすいように可視化させているのです。
 
私は課題も出さずに「はいどうぞ!」と言います。授業の8割で課題は出していません。それでもちゃんと学び始めるんです。でも、進めていくうちに引っかかりや戸惑い、ぶれが出てきます。そこに合わせて「ピンポイントの課題」を出してあげるのです。ですからぶれることがないのです。
 
課題は子どもの中にあります。ですからどんなに予想してもぶれます。台風の進路予想と同じです。今後コンピューターが更に速くなっても台風の進路を正確に言い当てることはできません。出来るのは時間ごとに状況を判断して、次の進路を修正することだけです。
 
だから、最初からよい課題を与えて1時間それで学び合わせようという発想自体間違っているのです。特に若い先生にそれは無理だと私は思います。
 
課題は後出しが基本です。子どもの状況を観て、それに合わせて課題を与えれば、絶対に負けない課題設定が出せます。少なくとも自分の課題が素晴らしいと思って、1時間ぶれたまま押し切るよりは遙かによいはずです。
 
もしも、授業の最初からそのブレを無くしたいのなら「予習」が必修です。予習をさせることによって最初から後出しジャンケンをすることができます。だからうちのクラスでは算数は半分の時間でクリアしていきます。そんな話を昨日はさせていただきました。