部活動

本市も部活動では全国でもっとも激しい地域の一つです。
小学校でも中規模から大規模の学校になれば毎年100万近くのお金を部活動に投入する学校もあります。
NHK合唱コンクールの全国大会で最後に出場校のテロップを見るといつも吹き出しそうになります。福島県と長野県の出場が異常に長い! 少ない県は2〜3校、しかも私立か国立です。
 
社会教育が発達していない地域では運動も文化も全て学校任せです。なんと言っても学校で勉強以外にも子どもをあずかってくれる、しかも安い。そして子どもに身に付く。まさに保護者の「ニーズ」が高いのです。ですから、学校もその「ニーズ」に応えようとやっきになります。当然、部活動をやることを公務分掌できっちりと固定されます。
 
おもしろいことに小学校では部活動を行っている教師をどう評価しているかという話があります。「子どもには部活動では音楽教育を受けさせたい、でも子どもの担任にはなって欲しくない」という話をよく聞きます。教室で子どもの面倒をよく見てくれないからだそうです(笑)
 
これは当たり前です。我々は朝8時から15時までは休憩もなく、授業・給食・清掃に明け暮れます。私の持ちコマは週に27時間です。そこに部活動を入れれば、休憩もなく部活動です。そのまま時には6時までやります。10年前だと部活動がダブる子どものために朝6時半には学校に行って、朝、起こしてもらえない子どもの家に迎えに行き、一緒にコンビニのおにぎりを食べ、7時から陸上練習を8時まで行い、夕方も6時まで部活動し、それから授業研究の準備をして、夜の10時まで仕事をするなんてざらにありました。
 
市内のどこの学校でも研修は「後回し」です。授業のことを語り合うなんて日常にはありません、どこの学級がどうなっていようと気にしている暇なんてありません。どの先生がどんな状態になっているかも知りません。
何よりも、授業をするよりも部活動を生き甲斐にしている教師も大勢います。
  
これが実情です。
 
じゃあ、これをどのレベルで解決できるか考えてみます。
校長レベルで解決できるでしょうか? 本校で人数減のため合唱部を無くすことに決めたことに保護者は怒りまくりました。それでも校長は辛辣な言葉を浴び去られながらも耐えました。たった5〜6名の部活動を無くすことでこの状態です。これを校長レベルの力で解決はできないことでしょう。
 
では市の教育長レベルではどうか? これも無理です。強烈な「ニーズ」がありますから。おそらく、部活動の土日廃止を打ち出すだけでも相当の批判を受けることでしょう。そして最も批判するのが当の「教師」です。
「なぜ、部活動をさせない」と怒りまくることでしょう。そしてそんな方針は無視してやり出すことでしょう。実際に今もそうなっています。
 
じゃあ県レベルで解決できるでしょうか?
じゃあ国レベルで解決できるでしょうか?
テレビや映画であれだけ教師と生徒の感動物語を写しだしているのに?
  
視点を変えることで何か変化が起きるなんてありえません。
 
できることはこの状態をオープンにすることです。教師・保護者・児童生徒にです。その上で、どのような学校にしていくか決めるしかないのです。授業のレベルが下がってでも、取りこぼしがでても部活動をやって欲しいのならそれもありでしょう。しかし、きっと保護者も児童生徒も解決策を見出してくることでしょう。一番は子どもです。子どもに考えさせればいい。だから足下である自分の学校が大事なのです。