1.学び合いの算数はそれほど簡単ではない

どうして「学び合い」で算数が取りかかりやすいと思えるのでしょうか?
 
「答えが明確で分かりやすい」
「学び合いの効果(分かったぞ!)が見えやすい」
「点数としてはっきり効果が見える(平均点の向上・最低点の向上)」
 
こんな所でしょうか?
さて、一方算数の「学び合い」でつまづく方も多いのも事実でしょう。
 
「学力差があって学び合いことが伝わり切れない」
「最低点の向上がなかなか見えない」
「学習の深まりが見られない(答えの求め方だけを追っている)」
 
こうしたことで算数の「学び合い」は難しいと感じる人も多いことでしょう。
 
私は算数の「学び合い」は非常に難しいと考えています。それは算数がスパイラル型で系統的に学習されるものだからです。
例えば一桁の繰り上がりのできない子どもに、3位数×2位数のかけ算を
「学び合い」で成立させようとしても、子どもさえ通常の時間内にそれを達成させることは難しいのです。最低点は0点となります。
 
そうした子どもにも対応すべく、kouty先生と取り組んでるのが単元の中で「自由度」を作り、そうした子どもにも対応できる内容と時間を作る授業です。単元という横のストレッチと縦の(縦の系統性)ストレッチを同時に行おうとする授業なのです。尚かつ、数学的に考え方も同時に養っていく……。
 
非常に高度で、思い切りの必要な「学び合い」です。kouty先生の授業もやってみれば分かりますが、そう簡単ではありません。何よりも「学び合い」が完全に成立していないと、1時間ごとの課題が明確でないので子どもがばらけてしまう可能性もあります。

実は、「学び合い」での算数のテストの平均点や最低点向上の秘密はテストの文章(問題の出し方)の中に隠されています。
一斉授業でも算数の苦手な子どもにも担任が寄り添って、問題の意味を
教えてやるとすんなり式と答えを求めることが多々あります。
テストは教科書をたどれば解けるように出来ています。
教科書をたどった「学び合い」は、その「独特な問題文の出し方」に
慣れるので、同じようなテストには「強い」のです。
まあ一斉授業では、下位の子どもが文意や方法をたどることについての対応が雑になっているということなのでしょう。
 
「学び合い」の深化が試されるのは、NRTや全国学力テストのようなテストでしょう。「学び合い」の実践者の中にはこうしたテストでも、飛躍的な向上を成し遂げている方もいらっしゃるようです。そうした人は常に算数での「学び合い」のあり方を考えていることでしょう。
 
逆に国語や社会科・理科などはこれまでの学習の成果にあまり左右されずにすんなりと、入れます。身の回りの社会とのつながりや日常の出来事と関連して学習できるからです。
 
しかし、多くの先生方がこれらの「学び合い」が難しいなと感じるのは、
課題の設定がうまく出来ていないからだと思います。そして、それをどう「まとめる」かが難しいと考えているからだと思われます。
私は、算数よりも遙かに理科の方が、「学び合い」しやすく、しかも高度に学習を成立させることができます。でも課題は非常に簡単です。教科書の小単元の見出しを使っているだけです。
国語の説明文なども非常に簡単です。教科書で求められていることを、
子どもたちに示し「みんなで考えてみて」と一言だけです。
 
ちょっと雑であり抜けている文章ですが、ざっと考えていることはこんな所です。

通常の授業にしても「まともな算数」はほとんど見たことがありません。
(大抵、一人学びで孤立し、練り上げで失敗しています)
「学び合い」の算数は、最も素晴らしい授業であることは間違いありません。でも、難しいんですよ。そう悩んでる方多くありませんか?