特別支援教育

近ごろfacebookばかりでブログが疎かになっていましたが、久しぶりに書きます。

今の僕の「裏の仕事」は、特別支援教育関連です。なぜ僕が特別支援教育に着目するのかというと学校の諸問題はこの特別支援教育(学級)に集約されるからです。この「闇」を明らかにすることが学校の抱える、そして教師の抱える問題を浮き上がらせることでしょう。複数回に渡ってこの闇を掘り起こしていきます。

◯増える特別支援学級
 特別支援学級は20年ほど前には大規模校(1000人ほど)で情緒と知的のどちらかがあるくらいなものでした。しかし、今では300人程度の学校でも複数の特別支援学級が設立されていることは別に珍しくありません。専門家からすれば「ようやく社会に認知され、子どもの特性に合わせて教育がされる時代になった」と思うことでしょう。しかし、実際にはその必要とされる子どもの人数を大幅に上回るようなペースで全国で特別支援学級が増えてきています。中には「いつも」自分の学級の2割程度の子どもが特別支援学級適だと言う教師もおります。なぜか特別にその教師のクラスにはそうした子どもが集まるわけです。この割合で言うならば100人中20人は障害を抱える子どもで通常学級では支えきれないということになります。本当にそうでしょうか。これは極端にしても、例えばよく言われる「5%」として(つまりクラスで1〜2人程度)も1000人規模の学校だと50人程度が特別支援学級の方がよいとされるわけです。確かにどのクラスにも1〜2人程度は「いろいろ問題が多いなぁ」と思う子どもは確かにいますよね。全国的に特別支援学級が増えているのはこうした「いろいろと問題が多いなぁ」と思う子どもがどんどん特別支援学級に移動していることを表しているわけです。
 しかし、本当にその子どもの社会的な不適応だけが理由でしょうか?僕はそうは思っていません。近年特別支援学級数が加速しているのは、2つの教師を取り巻く変化が複合的に絡んでいると僕は考えています。それは全国学力状況調査(学力テスト)と人事評価制度です。近年、全国学力状況調査に合わせて学力テストが強化されています。また、それは学級ごとに教師の能力として管理職に評価されます。特に小学校の場合は国語・算数はほぼ担任が受け持っているのですから、子どもの成績=教師の能力となるわけです。そうなるとどうでしょう? 発達障害に寄って授業をかき回され、さらに成績が低い子どもが学級にいることで、担任は自分の統率能力が低いのではないかと思われることを意識的、無意識的に感じ取ることでしょう。学力一つとっても例えば学力が極めて低く、特別支援学級が検討されるような偏差値が20程度の子どもであれば、その子1人でクラス全体の平均値は1〜2ポイント落ちることになります。「そんな小さな数字で?」と笑うかもしれませんが、クラスの平均値が「49.3」と「50.3」ではまるで学級の印象が違うことを理解できるでしょうか?
 近年の特別支援学級の増加はこうした学力テストの強化と人事評価の絡みによって、本来ならば教室から追い出されることなく過ごせるはずの子どもが、追い出されることによって増加しているのではないかという懸念を持っています。間違いなく増加の一端を担っているのは間違いないと思います。そしてこの傾向はどんどん加速していくことでしょう。これからも全国的に特別支援学級はどんどん増加し、近い将来現状の2倍近くになるのではないかと僕は予想します。