3つの力

今日は、これまでの取り組みを振り返り、その効果を計る意味もあり、ずっと子どもを観察することに集中して、授業を行いました。ずっと子どもを観察することで、心の状態、特性、関わり、集中などなどをモニタリングできます。そうすることで、これまの自分の授業の課題、そしてこれから子どもをどう育てていこうかと、考えが浮かんできます。これがいわゆる看取りの力で、これらの看取りからフィードバックをかけていくことで、今は水平にも、垂直にも軌道修正をかけることができるようになってきています。
 
さて、授業を進めていく上ではこの看取りの力は最も大事なのですが、他にも大事な力が2つあります。看取りの大切さは上記のようにこれまで何度も取り上げてきたので、今回は他の2つについてお話しします。
 
授業を進めるにあたって2つ目の大きなファクターは「技術」です。方法や型と言い換えても良いかもしれません。特に若い先生にとっては最初に身につけるべき力だと思います。授業の技術は多彩であるほど良く、子どもの性質、人数、環境などに合わせて、時には技術と技術を組み合わせながら、授業を進めていくことができます。こうした授業の技術がないと、「子どもを自分に合わせさせる」ことになり、時に子どもは反発するのです。ですから、若い先生はこれまでの実践で集積されている技術を書物や講座、Webなどでどんどん取り込んでいくと良いです。
 
そして3つ目の大きなファクターは「教育哲学」です。自分は子どもをどう成長させたいのか、自分は授業を通して、子どものどんな力を伸ばしていきたいのか、そうした自分の教育の方向性を見定めていく力です。こうした教育哲学は、どれだけ同僚の先生などと対話をしてきたかで、深まりは異なります。全く自分とは違うような授業をする教師でも、話をしてみると実は子どもを同じ方向性で育てようとしていることを知ることもあります。
 
この3つの力はもちろんのこと、一つだけやれば良いのではありません。この3つの力は複合的に絡み合いながら子どもに投げかけられていきます。ですから、技術だけでもダメですし、哲学だけでもダメですし、みちろんのこと、看取りだけでもどうにもなりません。これらが3つ揃って初めて効力を発揮できるのです。ですから、うまくいっている人の実践技術だけを取り入れていっても長続きしませんし、看取りだけしていても子どもの力は高まるわけではないのです。

こうした3つの力は、子どもが持続的に学ぶための大きな基盤なのです。