理数って?

教育界は多くの方がいわゆる文系の方で占められていて、大抵が文系よりの視点で書かれています。一方、いわゆる理系という方は、「ITすごいぜ!」か「こんな授業・実験で興味が持てる!」という方向性に向かう方が多いような気がします。もちろん、これらはこれらでとても大事なことで、そのこと自体は否定はしません。でも「どうして算数を勉強しなければならないの?」「どうして理科を勉強しなければならないの?」こう聞かれた時に、あなたはどう答えるでしょうか? 将来の仕事のため? 日本の経済活動の発展のため? 受験のため? お金の管理のため?
 
理数の教育はいつも「何か実用的なもののため」と捉えられがちですが、こうした実用的なことのためではありません。実際に理数の学習内容が直接、仕事に結びつく人はごく限られています。ですから多くの人にとっては「なぜ勉強しなければならないの?」そんな話になるのです。
 
理数は思考のプロセスの整理と効率化のためのものです。いわゆる筋道をつけて考える力を養うための学習です。
 
例えば、台形の面積を求める学習があります。人の一生で台形の面積を求める必要性なんでほとんどないことでしょう。そうなると「なぜ台形の面積を求める勉強なんてしなければならないんだ?」となります。でも授業では、台形の求積は3つの視点からアプローチしてきます。答えを求めるには、さまざまなアプローチがあるのです。なおかつ、そのなかでどれが最も分かりやすく、楽に求めることができるか、算数はそこを考えていく学習なのです。
 
これは人が生きていくために、多くの選択が迫れられることがあります。今日のおかずは唐揚げにしようか、それとも焼き魚にしようか、実はそんな一見何の関わりのないように見える選択でも、実は理数の授業のプロセスが関わります。
 
唐揚げにしようか、それとも焼き魚にしようか、それを選ぶ際には、さまざまなことを考えます。昨日の夕飯のおかずから、カロリーや栄養素、家族の好み、他のおかずとのマッチングなどなど。実はここに自分で合理的な答えをもとめるために、理数の教育は効いてきます。
 
我々は大小さまざまな選択を迫られます。今晩のおかずのことから、政治、世界平和まで。こうした選択に理数教育は大事な学習なのです。理数は決して「実用」なのではなくて、人の思考プロセスに直接関わっていく大事な学習なんです。