40人学級の何が問題か?

財務省の「40人学級に」という話はもちろんそんなことになるはずがないのですが、学校の少人数化を促進させるには、大きな「くさび」となりました。そもそも40人学級の何が問題のでしょうか? 実は35人学級と40人学級では大きく違うのです。多くの人はそこがわかっていません。今日はそんな話を。

現在の勤務校は僕が初任者のころ(20年ちょっと前ね)には1000人ほど児童数がおりました。それがこの20年で400人ちょっとまでに減少しています。さらにここ2〜3年でさらに50人ほど減ります。地方都市とはこういうものです。それでも福島県では小学校低学年、中学校1年生で30人学級、その他の学年では33人程度学級になっています(ただこの補充として講師を当てているのでそれはそれで問題があるのだけど)
もし、現在の勤務校が40人学級になった場合、単純に教師が3人ほど減ります。
 
これから首都圏の学校でも急速に子どもは減少していきます。規模は学年2クラス程度に落ち着いてくることでしょう。下手すると学年1クラスもありえます。学年の子どもの人数が40人の場合、一人増えるか減るかで学年に二人配当になるか一人になるか大きな分かれ目になります。
 
35人から40人に増えたところで確かに学級担任の仕事は1割程度増える程度です。しかし、公務分掌はどうでしょうか? 学級数が減れば当然教務も減ります。公務分掌は下手すると2倍になります。僕の今の勤務校でも、何もしなくても5年後くらいには公務分掌はかなり増えます。また大きな行事では一人の負荷がかなり大きくなります。例えば宿泊学習を全て一人で計画し、連絡し、子どもの指導をし、実行(当日はお手伝いしてくれる教師がつくだろうけど)することを考えてみてください。実際に僕はそうしたことをしながら、部活動を毎日行い、そして他の公務分掌をこなし、研究授業を行っていました。当然、夜中まで家に帰れません。
 
中学校ではどうでしょうか? 僻地では免許外指導が当然増えることになります。
 
では、どれくらいが適正ないのでしょう? 僕は30人学級が適正だと思います。ただ30人学級だと2クラスの場合、最悪15人学級が成立します。これだと子どもの総量としてのパワーが確かに小さい。でもこの人数ならば、学年授業をTTで行えば、対応できるバリエーションは増えます。30人単クラスでも6学年で最高180人なので、公務分掌は増えても公務分掌は回せます。
 
地方の県では「僻地勤務」が義務ずけられているので、そうした小規模校でも公務の回し方を経験してきていますが、それでも最近の少子化で公務分掌を回すことに四苦八苦しています。首都圏や大都市部の教師には、これから何が起こるか想像できないことでしょう。

1クラスの人数を増やすということはこうした状況を格段に加速させるということなのです。