教師は勤勉なんです

僕個人としては、もっと教師は世界の潮流や過去の実践などをもっと勉強し、理解していく必要があると思っています。でもだからといって外部の人が言うほど不勉強でもありません。みんな勤勉なんです。
 
小学校の教師なら「一人前」と言われるまで10年は最低でもかかります。なぜなら、小学校6年間で必要な知識やスキルを個別に拾っていくと、その数は数万にもなるからです。10年という根拠は、少なくとも同じ学年を複数回は持たないと、そうした知識やスキルは十分に習得できないからです。
 
例えば、図工の版画。使用する板の種類、削る方向、各彫刻刀の違い、使い方、インクの種類、伸ばし方、ばれんの使い方、奉書紙の種類など版画だけでも、理解しておくべきことが100近くあります。小学校で理科の授業が嫌われるのは、こうしたスキルや知識の量が他の教科の数倍あるからです。
 
こうしたことが分からないと、「その道に長けた人」からは「そんなことも知らないの?」と言われかねません。僕なんかリールコードの八の字巻きが分からなかっただけで、「これだから教師はだめだんだよな〜」って電気屋に小馬鹿にされたこともあります。
 
スキルは数万もありますから、年間に1000個のことを覚えても数十年かかる計算です。当たり前ですが、その多くを理解、習得しないまま教師生活が終わるのです。でも多くの教師は勤勉ですから、こうした知識を本当によく学んでいます。ですから、世界の教育のことまで目が向かないのは当然のことだと僕は思っています。
 
だから、僕のように研修主任は、多くの情報を発信し、上記のようなスキルや知識が、その先の目的につながっていくように働きかけていくことが大事なのです。先日、本校にアソビジンの中川綾さんが来校いただいた時にそうしたことを学ぶ、きっかけを作っていただきました。来週には、出てきた言葉の解説を、お便りで先生方に配る予定です。僕は本校の先生方にこうして広く学んでいただくことでお給料をいただいております。