授業で最も大事なこと

これまで多くの授業を観てきて授業で最も大事なこととは何か?
 
それは「聴く」です。
 
 
なぜそう言い切れるのかというと、それは授業の見方にあります。僕は絶対に授業を後ろからは観ません。必ず教師側から子どもたちを中心に観ることにしています。教師や板書をほとんど見ることはありません。
 
そうすると、3分も授業を観ればその教室の子どもたちと教師の関係、そして日常の授業がほぼ理解できます。どんなに素晴らしい教材を用意しようとも、どんなに分かり易い板書を書こうとも、実は子どもの授業とは直接的には関係ないのです。ずっと子どもの目線を追います。そうすると、子どもが「聴こうとしている」のか、「聞いている」のかすぐに分かります。
 
そして素晴らしい授業をする、そして子どもが育っているクラスは一つの例外もなく、子ども自らが「聴く」姿勢が出来ています。
 
それはなぜでしょう? 理由は簡単です。教師の話を聴くことによって自分の学びに利益があること、そして学びが向上することが分かっているからです。逆に話を曖昧に聞いているクラスは、聞かなくてもどうにかなることを知っているからです。
 
若い先生はこの時期に子どもたちに話をきちんと聴かせる訓練が必要です。僕ができるアドバイスは2つ。
 
1つめは聴く姿勢ができるまで話はしない。
2つめは、物理的な距離を縮める。
 
私の授業をご覧になられた人は「ああっ、あれね」ってイメージできると思います。私はよく子どもを集めて話をしていますよね。それは子どもとの物理的な距離をつめて、子どもと対話するためです。物理的に距離をつめるとで子どもは話を聴けるようになります。小学校の場合は低学年ほど物理的な距離は短い方がよいです。小学校1年生が席について話を聴くのは相当大変なはずです。でも座学にして、低テーブルを挟んで話をすると、教師の目線も下がり子どもは安心して対話に入り込むことができます。
 
こうしたことを本当は自分の学校の先輩方から学ぶべきなのでしょうが、今の学校でそうした力のあるところはごく少数です。若い先生にはぜひ「聴く」を大事にしていって欲しいと思います。