あれから2年が経ちました

震災のことはこれまで一日たりとも頭から離れたことはありません。特にM9にも及ぶ巨大地震、そして原発事故は自分の人生観や価値観を根底から揺るがすものでした。
 
僕は地学科なので専門家には及ばないけれども通常の人よりも遙かに知識は豊富でした。ですから今回津波で被害があった場所がどれだけ危険かも知っているつもりでした。そして福島県に住んでいることから原発にも興味はあり、同じく危険性を認識していたつもりでした。しかし、どちらの被害も自分のイメージしていた想定をずっと超えたものでした。
 
正直言うと僕には沿岸部で津波被害に遭った人々の苦しさを真の意味で理解することはできません。同じように同じ放射線被害でも原発周辺の人々の苦しさを感じ取ることもできません。僕には僕の苦しさしか理解できないのです。
また被害に遭われなかった人に理解して欲しいとも思っていません。そんなことは無理だし、本気で分かろうとすれば自分が苦しくなるだけなのだから。
 
僕はこの災害を決してネガティブにとらえているわけではありません。ひょっとすると真の意味で21世紀がやってくるきっかけになるのかも知れないからです。停滞し、膠着状態に陥っていた日本には、これをきっかけに新しいステップへとステップアップしていく可能性があったからです。
 
ところがこの震災があっても「もとのままに」という猛烈な揺り戻しの圧力、そして既得権益を保持しようとする大きな流れを感じます。むしろ震災前よりもずっと強く感じます。でもいずれ崩れていきます。僕は数十年後に今の時代を振り返ったときに、「このころから日本という国が変化を始めた」という入り口にきているような、そんな気がします。