この2年間で実証できたこと

パナソニック教育財団による研究助成の実践グループを解散しました。
 
この2年間で私がぼんやりとした見通しを持っていた部分がはっきりとしました。グループ研究であるので授業公開とかできませんでしたが、ここでその成果を簡単に紹介します。ものすごく「大事なこと」です。
 
通常、私たちは、校内外で授業参観したり、本を読んだり、セミナーに参加したりすることで新しい技術や授業論をつみ重ねていきます。しかし、ここには大きな問題があります。例えば「○○先生のような実践をしたい」なとセミナーや本を読んで感じても、それは「自分」というバイアスが必ずかかることで、うまくいったり、いかなかったりします。まあ多くの場合、うまくいきません。なぜならばその授業に対しての本質を見抜く力がないからです。
 
ではどうしようもないのでしょうか? 私たちはその答えを「子どもたちの姿」に求めました。この研究では、教室と教室とを「窓」でつなぎます。つまり、ネットで教室と教室とをつなぐのです。しかし、一般に行われるように協働の課題を設けるとか、関わり合いながら学ぶとかではなく、ただ横を見れば画面上によその学校の子どもたちの授業風景があるだけです。しかし、この効力はとても大きく、子どもたちは必ず画面の向こうの子どもたちの「姿」「立ち振る舞い」をとらえます。
 
つまり「教師」というバイアスがかからずダイレクトに子どもの学び方と学び方が触れあいます。すると子どもたちは、ものの1時間で変化します。教師が何時間、場合によっては何ヶ月もかかることが、です。ですから、その先生の授業を学びたかったら、そのクラスとダイレクトにつなげばいいのです。教師がどんなに素晴らしいかを説明しても、子どもにイメージは伝わらないのですから。
 
その意味で私のぼんやりと感じていたことを確かめられました。そしてこの成果はとてつもなく大きいのです。だって「時間」だの「距離」だの「積み重ね」だのがいっぺんに吹き飛んでしまうのですから。こんなに簡単で分かりやすいものはありません。自分のクラスを変えたかったら、自分の学校を変えたかったら、つなげばいいんですから。
 
この研究が始まった2年前では、こうしたSkypeを始めとした動画などのやりとりは回線の確保などから大変難しく、助成金をいただいてグループ内でwimaxなどの回線を確保していました。しかし、この2年で回線状況はかなりよくなり、facetimeでは3G回線でもきれいな画面でやりとりできるようになりました。iphoneが1台あれば全国の誰でも簡単に動画がやりとりできるようになりました。だれでもできるという環境は整ったのです。
 
しかし、この取り組みは大きく2つの壁が立ちはだかります。一つは「個人情報」、そして「学校長」「教育委員会」という管理職に了解を得ることです。私たちの会では、パナソニック教育財団という後ろ盾と、その取り組みに対する計画書がありましたのでうまくことは進みました。私も申請書をもとに校長や教育委員会の了解を得て活動してきました。こうした壁がより低くなることがこの取り組みの成功を左右します。
 
そんな煩雑な手続きが必要であっても、この取り組みの効力はそれに見合ったものを子どもたちに与えてくれます。ぜひここを読まれた先生方も、自分たちの研究グループなどで試してみてはいかがでしょうか? 効力は保障します。