どんどん降り積もる

「織り重ねる学び」というのはあらゆる面で革新的です。「飛び道具」ではなく、これまで誰もがやってきたことであり、部分的にはどこでも実践されているごく当たり前のことです。しかし、これらが統合的に融合された授業は一度も見たことはありませんし、おそらく「ない」と思います。なぜなら研究校では授業というものを教科レベルで考えていくことが多いからです。
 
例えば、学校や授業の理念を掲げていてもそれを具現化するのは必ず「教科」ですよね。しかし、そうした教科というものの境界線が「織り重ねる学び」では、薄れていきます。1時間を剥ぎ取ると何をやりたいのか、何をやっているのか分からないかもしれません。しかし、子どもの学びはどんどん降り積もってきます。ですから膨大な量(成果)が蓄積されていきます。
 
協同学習という枠組みから一歩に抜け出したときに初めてこの学習が見えてきます。宿題も授業の続きだし、授業も宿題の続きになっていきます。一つ一つの授業は紙一枚の厚さしかありません。でも全てが関連づけられ、一つ一つを積み上げていくと一冊の本のようになってきます。
 
この発想が生まれたのは偶然ではなくて必然です。この20年間のバラバラの実践が一つにつながったという感じです。ここ1〜2年でおぼろげに見えていたことがはっきりしてきたという感じです。ものすごく単純でものすごく奥が深い学びが「織り重ねる学び」の本質です。
 
今は20代の若者たちが激論しながらどんどん新しい領域を作ってくれています。この1ヶ月でも「移り」「プロセス」「時間の流れ」という新しい視点を発見してくれて、すぐに自分の授業にフィードバックされています。
 
私は開拓者だから、試行錯誤もあるので授業の「ゆらぎ」はまだ大きいのだけれども、もしこれらを理解し、丁寧に実践できるタイプの教師がやたらびっくりするような成果が生まれると思います。僕は新しいことを開拓することが一番の楽しみですので毎日がとて楽しいですね。