郡山の農家

10年ほど前に「総合的な学習の時間」で食の安全や有機農法についてのよいアドバイザーはいないか、郡山市中をずっと探し回っていました。いろいろと探し回った結果、中村和夫さんに出会いました。本当に素晴らしい方でそれからずっと授業・子どもを通じておつきあいさせていただいてきました。前任校・本校でもこれまでに200名を越える子どもが3年生の社会科の授業「農家の仕事」や総合学習で中村さんから学んできました。
 
そして原発事故。落ち着きを取り戻しつつある中で、ずっと中村さんのことが気になっていました。しかし、私には電話する勇気が出ませんでした。なぜなら中村さんは「有機栽培の米作り」なのです。多数の顧客を持つ中村さんですが、そうした顧客は安全・安心のためにこれまでお米を買ってきたのですから、この事故でそれがどうなったのかはすぐに想像が付きます。私はその状況を目の当たりにすることが怖くて連絡ができなかったのです。
 
そして今年も3年生が農業について学ぶ単元が近づいてきました。意を決して電話したところ快く引き受けてくださいました。そして昨日。その打ち合わせに行ってきました。中村さんはいつものように静かにこれまでの状況を教えてくださいました。中村さん自身にもお孫さんがいらっしゃり、これから出産を向かえるお嫁さんもおります。農家であること、そして放射線。本当に切なくなく感じます。救いはリスクをきちんと天秤にかけながら前向きに農業に勤しんでいること。そして徹底した放射線測定によって農産物の安全性を確かめていく姿に中村さんの強さを感じました。
 
子どもたちはこうした農家の方から学べるというのは最高に幸せだと思います。そして今回の社会科の学習は放射線に対する農家の人の考えと工夫という最高レベルの課題が内在しています。私はこの学習を本当にしっかりとやらせたいと考えています。自分の持っている能力・テクニックを全て使っていきます。その中で子どもたちが放射線についても考えていく力を身につけさせていきたいと思いっています。
 
なお中村さんはについては人民新聞が取材で取り上げています。そのコメントを読むと中村さんの誠実さが分かると思います。本当にこの原発事故は許せない限りです。
 
http://www.jimmin.com/htmldoc/145301.htm