競争は悪じゃない2

私たちの行っているパナソニック教育財団による助成研究では教室と教室とをダイレクトコンタクトしています。そうすると何が起こるでしょうか?
 
ちょうど報告書を作成していて、子どもたちの言葉を拾っているところですが、それがとてもおもしろい。競争が生まれているのです。
「向こうは私たちよりもずっといい勉強をしている。」
「書くスピードと集中力がまるで違う」
「○○がとても気になった。あれを自分たちにも取り入れたい」
など相手を意識し出します。
 
子どもに競争を促して行う授業は「最低」です。しかし、質のよい授業を積み重ねていくと勉強すること自体が競争になってきます。競争というのはもともと人間に兼ね備わっている「本能」です。だって幼児だって競争は大好きでしょ?
 
しかし、その競争を利用して勉強させようというのは長続きしないばかりか、人間関係を壊していきます。しかし、高度な学びの中の競争は楽しく、そして寛容です。
 
では、どうすればそんな競争が生まれるのでしょうか? これもパナソニック教育財団の助成研究にヒントがあります。こうしたことを意識できる学級は何が違うのかというと、教師の授業のあり方なのです。この研究グループには様々な実践をしている先生がおります。しかし、共通なのはどの先生もより自分の授業を向上させようと「子どもたちと」それに取り組んでいる先生です。この「子どもたちと」というのが肝です。中学校ならば「生徒」でしょうね。こうした教室環境の児童や生徒はとにかく、より高い場所へと向かいたいという気持ちが強いのです。こうした子どもたちに競争がうまれることが大事なのです。